今は亡き魅力ある三菱のセダン達
街を走る車を見れば分かるように、今の日本の自動車市場ではミニバンやRV系、ワゴンが人気です。逆に不人気なのはセダンやクーペです。自動車のラインナップを見てもクーペは壊滅状態、セダンはあの王者カローラでさえも苦戦を強いられる有様です。
そのような逆風状態で、各メーカーは次々とセダンのラインナップを減らしていきました。三菱もその流れに乗り、2016年に三菱 プラウディア/ディグニティが生産終了、これを以って三菱からセダンのラインナップが消滅してしまいました。
今は亡き三菱セダンですが、ランサーを筆頭に非常に魅力的な車種が多かったのです。
ランサー
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三菱の槍騎兵ランサー。カローラ、サニーと同じ小型セダンとして1973年にデビューし、早い頃からラリーなどのモータースポーツに力を注いでいました。
1992年、パジェロやジープで学んだ4WDの技術や電子制御などで武装したランサー"ランサーエボリューション"がデビュー。WRC(世界ラリー選手権)でトヨタ セリカやスバル インプレッサとの熾烈な争いの中、世代を重ねるごとに弱点を克服し、進化していきました。90年代のWRCはランエボとインプの戦闘力がドラゴンボール状態で、他の車種が全く太刀打ちできなかったそうです。
2010年、セダンの売れ行きが不調になる中、6代目ランサーは後継の発表なく生産中止、国内でのランサーの名前は消滅しました。
ギャランフォルティス
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2007年に海外で7代目ランサーとして販売されたのですが、小型セダン"ランサー"としては大きすぎるのでこの名前で販売されました。実はこの車、同年にランサーから独立して完全オリジナルとなった"ランサーエボリューションⅩ"をベースとした廉価版として作られており、「ランエボをベースにランサーが作られる」という主従逆転が起きていました。
2015年に販売終了、以って三菱オリジナルセダンは消滅しました。
ギャラン
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トヨタ マークⅡ、スバル レガシィと同じDセグメントのアッパーミドルセダンです。
最初は"コルトギャラン"としてコルト1200/1500から派生する形で誕生しました。それに伴いコルト1200/1500は生産中止となるのですが、小型車のポジションが不在となってしましました。これを解決するために生まれたのが上述のランサーです。
トップグレードである"VR-4"は、WRC出場を目指して開発された元祖ハイパワー四駆であり、ランエボのご先祖様でもあります。インプレッサにとってのレガシィRSのような感じですね。
2005年に国内市場から一度姿を消すもギャランフォルティスとして名前が復活しました。
デボネア
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トヨタ クラウン、日産 セドリック(今日のフーガ)のライバル…なんですが売れ行きはイマイチだったそうです。
1964年、初代デボネアがデビュー。三菱のフラグシップとしてクラウン、セドリック/グロリアにカチコミをかけるのですが、割高感が否めなかったらしくあっさり敗北。大規模なモデルチェンジも行われず、70年代に入ってデザインが古臭くなって更に売れ行きが悪くなってもまだ売られ続けました。80年代に入ってもマイナーチェンジのみで、デビュー当時のスタイルを保っていたことから「走るシーラカンス」という異名を与えられました。
1986年、ついにモデルチェンジ。23年間ものモデルサイクルはトヨタ センチュリーに次ぐ長さであり、しかもこの間に売れた台数は僅かに2万台超でした。
3代目は、デボネア1車種でライバル社の豊富な高級車ラインナップに対抗するために販売価格層が極めて広くなり、下位グレードはクラウン/セドリック、上位グレードはセルシオ/シーマがライバルとなりました。
プラウディア/ディグニティ
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プラウディアはデボネアの後継として2000年に登場、ディグニティはそのリムジン版です。V8 4500ccというセルシオをも凌駕する巨大なエンジンを積みながら、なんとFF車です。三菱はFF車特有の車内空間の広さを強調して宣伝したのですが、「高級車にFFはナシ!」と市場から否定され、僅か1年で生産終了。当然販売台数は振るわず、ディグニティに至っては59台と、限定車を除く販売台数の最低記録を樹立してしまいました。
2012年、フーガ/シーマのOEMとして復活するもやっぱり売れず、結局2016年に販売終了、これを以って三菱のラインナップからセダンが完全消滅しました。
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