たった一代で生産終了!短命の車たち5選
カローラ、クラウン、スカイライン…これらの名前を聞いて「聞いたことない」と答える人は殆どいないでしょう。彼らは50年以上の長きに渡り、時代に合わせて、需要に合わせて、ライバルに合わせてモデルチェンジを繰り返し、社会に浸透していったロングセラーだからです。
一方で、モデルチェンジ前に生産終了してしまい、余程の車好きか購入した人くらいしか名前の知られていない短命な車も存在しています。
しかし、そういった車の中には、大胆なデザインであったり、革新的であったり、今となっては当たり前となった装備の先駆けであったりと、意外な特徴を持ったものが存在します。
トヨタ オーパ(Opa)
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このミニバンとワゴンとハッチバックを足して3で割ったような見た目の車、これがオーパです。曰く、「ミニバンのキャビンスペースと多機能性」と「高級サルーンの走り」を併せ持つ、「全く新しい新世代の車」だそうです。トヨタが新市場開拓のための市場調査の目的で世に送り込んだ車です。
1999年に登場したこの車は"新ジャンルの車"ということ以外にも、初めてCVTを搭載したトヨタ車でもあります。
当時のトヨタにとって、CVTは未知なる装備でした。そんな未知のものをカローラなどのロングセラー車に積んで、万一失敗してしまったらブランドが傷つくことになります。そこで、新ジャンルでブランドを持っていなかったOpaに白羽の矢が立ったのでしょう。
2005年、Opaはモデルチェンジを受けることなく生産終了しました。しかし、Opaのコンセプトは2006年登場の"ブレイド"へと引き継がれ、それはやがてレクサスCTに受け継がれていくことになります。
日産 NXクーペ
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NXクーペは、日本では馴染みのない"セクレタリーカー"というジャンルの車です。名前の通り"秘書が乗る車"で、廉価でお洒落で小さめのスポーツ向きではないクーペのことを指します。北米では人気のジャンルです。
日産 サニーをベースにした丸みを帯びた小さなボディに、引っ込んだヘッドライトを装着、なんとなくZ32を思わせるデザインをしています。屋根は"Tバールーフ"と呼ばれる取り外し可能な仕様になっており、 しかもガラス製なので外さずともオープンカーの気分を味わえます。
日本での販売はさっぱりで、原因としては日本で馴染みの無いジャンルだったこと、同時期に大人気のS13シルビアが販売されていたこと、デザインが受け入れられなかったことが挙げられます。ただし、メインターゲットだった北米市場での販売は概ね好調でした。
三菱 ディグニティ
三菱自動車には「三菱グループの一角である」というプライドがありました。三菱の名に懸けてトヨタ、日産に負けるわけにはいかない…そんな思いからセンチュリー、プレジデントの対抗馬になるリムジンを販売することにしました。それがディグニティです。
ディグニティの特異な点は、4500ccV8という巨大なエンジンを積んだ1000万円超の高級車にも関わらず、駆動方式がFFということです。兄弟車であるプラウディアの広告曰く、FFなので室内空間が広いということです。
しかし、世間からは受け入れられず、加えてリコール隠し問題が起きてしまい、プラウディア諸共1年ちょっとで生産終了、生産台数59台というワースト記録は未だ破られていません(限定車除く)。
因みに2012年にシーマのOEMとしてひっそりと復活しました。
スズキ キザシ
軽自動車、小型車、バイクのイメージが強いスズキですが、実はアッパーミドルサルーンも作っていました。その車の名は"キザシ"、車名の由来は"予兆"を意味する「兆し」、日本車にしては珍しい日本語由来の車名です。
高級車を謳うだけあって、心臓は2400cc直4、182cmの幅と465cmの全長を誇る、結構立派なスペックをしていました。スズキとしては最大の車です。
北米市場において、アキュラ TSX(日本名:ホンダ アコード)やVW パサートに対抗するために開発された車でしたが、完全受注生産であったこと、宣伝する気が無かったこと、そもそもスズキに高級車のイメージが無かったことでさっぱり売れませんでした。
しかし捜査車両として大量に警察に納車されたため、「キザシを見たら覆面と思え」と言われるようになってしまいました。これでは覆面の意味がありませんね。
ダイハツ アプローズ
現在、ダイハツの唯一のセダンと言えば、トヨタ カムリのOEM"アルティス"ですが、かつては"アプローズ"という名のダイハツのオリジナルのセダンが存在していました。
アプローズは今に至るまでダイハツ車の中では最上級の車なのですが、排気量は1600cc程度です。ダイハツが如何に軽&コンパクトに専念しているかが分かりますね。
外見はどう見ても普通のセダンにしか見えませんが、トランクを開けようとするとリアウィンドまでもが開閉する、5ドアハッチバックの様になっています。アテンザやプリウスと似たようなものだと思ってください。
平成元年、満を持して発売されたのですが、同年11月に「アプローズは燃える」とネガキャンが展開されました。これが販売に致命的な打撃を与え、結局ダイハツのお偉いさん専用車となってしまいました。