暇人によるクルマ語り

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キログラムが変わる?生活への影響は?~SI基本単位とは~

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headlines.yahoo.co.jp

 最近こんなニュースが流れてきました。SI基本単位の一つ”kg”の定義が2019年5月に変わるそうです。ここで「SI基本単位って何?」と思われ方もいっらしゃるのではないでしょうか。

「駅まで200メートルほど…」

「5キロも太っちゃって…」

普段何気なく使っている"単位"。

具体的に何を基準にして"1メートル" "1キログラム"としているのか分かりますか?

偉い人がそうだと言ったから?

そう設定すると科学的に都合がいいから?

日常生活に深くかかわってくる"単位"を分かりやすくまとめてみました。

 

 

 

・SI基本単位って?

”SI基本単位”とは、簡単に平たく言えば"これ以上分けることの出来ない基本の単位"です。具体的には

 ・時間の単位  "秒"

 ・長さの単位  "メートル"

 ・重さの単位  "キログラム"

 ・温度の単位  "ケルビン"

 ・電流の単位  "アンペア"

 ・光度の単位  "カンデラ"

 ・物質量の単位 "モル"           …とがあります。

対になる言葉は"組立単位"といい、基本単位を組み合わせて使います。代表例として、

 ・面積の単位 "平方メートル"

 ・速さの単位 "メートル毎秒"        …などがあります。

いずれの基本単位も宇宙のどこへ行っても変わらない物理法則を基にして定義されているのですが、"キログラム"だけが唯一「キログラム原器」という人工物を基に定義されてます。これでは「キログラム原器」が破損してしまったら、世界の誰もが"1キログラム"を知る手段を失ってしまいます。

ずっと前からこのことは問題視されていたのですが、この度とうとう物理法則を基にした定義に置き換わるそうです。

 

・"秒"って?

この世の物理法則にとって最も重要な要素"時間"。その時間の単位"秒"は"ケルビン”以外の基本単位の定義にも関わってくる最も重要な基本単位です。

 

さて、この"秒"、古くは

"1日の24分の1を1時間、1時間の60分の1を1分、1分の60分の1を1秒とする"

というように定義されていました。

しかし1日の長さは地殻変動などでズレることが分かり、

”1900年の地球が太陽の周りを1周するのにかかる時間の31,556, 925.9747分の1"

に変更されました。しかしこれも「1900年に戻って"秒"を測定出来ない」という理由で変更になり、今日の

"セシウム133原子が基底状態(原子のエネルギーが最も低くなって状態)のときに、この原子が放つ光の周期の9,192,631,770倍の時間"

と定義されました。

こんなに中途半端な数字になったのは、"秒"という時間の長さが元の定義から大きくズレないようにするためです。ズレてしまったら世界中の時計を直さねばなりません。

 

・”メートル”って?

メートルのルーツを知る人は多いでしょう。

”赤道から北極点までを子午線上に結んだ線の長さの1千万分の1”

と定義し、フランス革命で混乱するフランスをトラブルに見舞われ測量し続け、苦難の果てに遂に「メートル原器」が出来た…という話です。そのため、地球の子午線上の1周の長さはぴったり4万キロです。

さて、この「メートル原器」ですが、まず”製造”しなければなりません。この製造の過程で既に精度の限界が出てしまいます。さらに完成後は経年劣化、或いは破損や紛失といったリスクが付きまとってしまいます。定義としてはあまりに不安定です。

現在は

”光が真空中を299,792,458分の1秒間に進む距離”

を1メートルと定義しています。定義に"秒"が使われています。

 

・"キログラム"って?

問題のキログラムです。元々は、やはりというべきか水を基準として定義されていて、

”水の密度が最高になる水温での、1Lの水の重さ”

とされてきました。

しかし後年、水の密度に”気圧”が関わっていることが判明しました。"気圧"には"重さ"が関わってきます。つまり”重さを定義するのに重さの定義が必要”という無限ループに陥ってしまいました。

そこで

”(白金:イリジウム)=(9:1)の合金でできた、直径39mm 高さ39mmの円柱「キログラム原器」を作成し、これの重さを"1キログラム"”

としました。

この「キログラム原器」もまた破損、紛失、劣化により変化してしまいます。「メートル原器」同様、定義としては不安定です。

新定義では「プランク定数」というものを使用して定義するそうです。上述の単位同様、可能な限り現在のキログラムと同じになるように定義されるはずなので、ぶっちゃけ生活への影響はありません

・なんで「キロ」グラム?

他の基本単位と違い、何故かこいつには接頭語"キロ"がついています。

簡単に言うと「”グラム原器”だと小さすぎて正確性が落ちてしまう」からです。

「キログラム原器」を製造した当時の技術力では「グラム原器」ほど小さいものだと正確に作れなかったのです。

 

 

 

日頃から使っている単位にはこんな定義があったんですね。「そういうもの」だと思って使っていたから知らなかった…

今回は力学で使われる"MKS単位系"(メートル、キログラム、秒)のみに

 留めましたが、気になる方は他の4つも調べてみてはいかがでしょうか?