奇妙で変なトヨタ車3選
"トヨタの車"と言えば、「80点主義」を体で表したような、悪く言えば面白みに欠ける、良く言えば無難で堅実な車を想像しますよね。私もトヨタに対する感想はそんな感じです。ホンダのS2000だとか、スズキのX-90だとか、あんなぶっ飛んだ車は良くないとして避けているイメージがあります。
しかし実際にはそうではないようです。トヨタだって「血迷ったんじゃないのか?」というくらい飛んでる車を開発し、販売していました。
今回はそんなトヨタの”奇抜で変な”車を紹介していきます。
セラ
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昭和62年、”AXV-Ⅱ”というコンセプトカーが発表されました。車体の上半分が殆どガラスで占められ、挙句ガルウィングという、販売するには現実味のない風貌でした。
しかしトヨタは何を思ったか、このコンセプトカーをほぼそのままの形で"セラ"という名を与えて売り出してしまいました。
セラのベースとなった車体は、ヴィッツのご先祖様たるP70スターレット。故に販売価格は安く、車格も小さい、所謂"大衆車"と呼ばれる車なのですが、コンセプトカー通りバタフライドアを採用、ルーフまでガラス張りで「全天候型オープン」なんてキャチコピーを引っ提げた奇抜なクルマです。
ただルーフをガラス張りにするという無茶の結果、頭が重くなり重心が上昇、さらに温室効果により夏場はクーラーが全く効かず灼熱地獄となるという欠点を抱えることとなりました。
因みにセラのドアのことを「ガルウィング」という人がちらほらといますが、正確には「バタフライドア」と言います。何でもかんでも「ガルウィング」と言う人に「いや、あれはバタフライドアだよ」とマウントをとっちゃいましょう。(嫌われても責任は負いかねます)
コロナ スーパールーミー
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パッと見た感じはただのT170型コロナです。しかし車内を見ると後部座席がやたらと広大。Bピラーのところを良く見てみると…なんとストレッチされているではありませんか!
この"コロナ スーパールーミー"はコロナを210mmだけストレッチした、トヨタ純正のリムジン仕様車なのです。トヨペット店累計販売台数1000万台を記念して500台製造された限定車です。製造台数的には、あのLFAと同じくらいレアということですね。知名度の低さ、製造からの年月を考えるともっとレアかも知れません。
リムジン仕様とは言っても、本当に210mmストレッチしただけなので、5ナンバーサイズに収まっています。なので取り回しに困ることはありません。
しかし、"5ナンバーのリムジン"なんて、いったい誰が買ったのでしょうか…
WiLL Vi
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1999年、トヨタ、松下、アサヒビール、花王、近畿日本ツーリストが異業種合同プロジェクト"WiLL"を立ち上げました。これは、当時の20~30代(ニュージェネレーション層)が"こだわり"を重視し、今までの消費者とは全く異なる行動を示すのではないかという想定の下、彼らに向けた商品開発を模索するためのプロジェクトです。
そのWiLLプロジェクトでトヨタが開発した車を"WiLLシリーズ"というのですが、その第一弾がこの"WiLL Vi"です。
大きく弧を描いた前後対称のフェンダー、通常とは逆向きに傾いたCピラー、ドアの3本のラインなど、当時の車としてはふざけてるとしか思えないこの奇妙なスタイルは、"カボチャの馬車"をイメージして作られました。
性能とか理論とかを全く無視した車ですが、あまりにも奇妙なので車に興味ない層からも注目は浴びたそうです。性能<スタイルを世に先駆けて示した車なのかも知れませんね。
ただベースのヴィッツと比較して割高だったことが祟って全く売れず、2年経たずに生産が終了してしまいました。