~ペットネームの重要性~ 車名を変えた車3選
車は時代に合わせてモデルチェンジし続けます。
長い歴史を持つ日本車"クラウン"の初代と現行モデルを見比べてみて下さい。"高級車"というコンセプトは一貫してても、見た目は全く違います。言うまでもなく数々のモデルチェンジの結果です。
多くの車はモデルチェンジしてエンジンや型式が変わっても、車名までは変えません。車名はその車がどんな車であるかという第一印象になるからです。"アルファード"が"ハイエース"という名前に変わったらどう思いますか?「トヨタの高級ミニバン」というポジションは変わってないのに、急に商用車のイメージが湧いてしまいます。せっかく築き上げてきたブランドが台無しです。
では、車名を変える時とは? それはメーカーがその車のターゲット層を変えたい時や、ネガティブな印象を払拭したい時です。
今回は、モデルチェンジで車名を変えた車を紹介していきます。
マツダ アテンザ/アクセラ
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2002年、マツダは"zoom-zoom"を提示しました。日本語に訳すと"ブーブー"、子供がおもちゃの車を走らせる時に発しているあの効果音です。「子供の頃のあの楽しさを」「単なる移動手段ではなく、楽しさを」という思いが込められているそうです。
さて、「zoom-zoomに基づいてマツダは生まれ変わるんだ」という意思を示すかのように、マツダのロングセラー車、カペラ/ファミリアが相次いでその名前を変えます。それがアテンザ/アクセラです。
カペラ/ファミリアは30年以上の長きに渡ってマツダを引っ張ってきた看板車種です。彼らと決別するということが、当時のマツダにとってどれほど勇気のいることだったか容易に想像ができます。もし失敗すればマツダの経営は火の車に陥ることになります。しかし、街中のアテンザ/アクセラの数を見れば、この車名変更は成功だったと言えます。
この2車種には共通点があります。それはごく普通の車なのに未だにMT設定があるということです。今日の日本車でMT設定のある車は、シビックtypeRやフィットRS、WRXstiなど、スポーツカーやスポーツティーカーばかりです。一般的な車からはMT設定が消えてしまいました。でも彼らは違います。きちんとMT設定を残しています。それはひとえに"zoom-zoom"の「走る楽しさ」を実現するためでしょう。
トヨタ アルファード
今でこそハイエースはトヨタの商用車というイメージですが、かつてはファミリー向けのミニバンのポジションも担っていました。
ところが1997年、ハイエースのライバル、キャラバンが"キャラバンエルグランド"と名前を変え、高級ミニバンというジャンルを開拓しました。そこでトヨタは、キャラバンエルグランドがモデルチェンジで"エルグランド"と車名変更するのに合わせてハイエースから"アルファード"を分化しました。
アルファードへ派生したことで駆動方式がFFに変化。国内専売車種とし、車内空間は広く、インテリアは日本人好みのおしゃれな木目調を多用しました。
"アルファードV"と"アルファードG"という基本は同じでも外観が違う2種類が用意され、Vは後に"ヴェルファイア"という名称に変更されることになります。
トヨタ マークX
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80年代に沸き起こった"ハイソカーブーム"を代表する高級車、"マークⅡ" "チェイサー" "クレスタ"を纏めて「マークⅡ3兄弟」といいます。「この車に乗っていると男の価値は倍になる」と言われた程の人気車だったそうです。
ところが金回りが苦しくなって高級車が売れなくなってくると、同じ車を3つの名称に分けて販売するという行為は無駄になってきます。
そこでトヨタは車種整理の名の下に、マークⅡ兄弟を1つの車に纏めます。この際、「マークⅡ兄弟体制からの脱却」という思いを込めて"マークX"という車名に変更しました。
これまであったMT設定やターボモデルの廃止、クラウンとプラットフォームを共有するなど、今までにない大幅な変更が施されました。
現在の2代目マークXは登場から10年が経過してるにも関わらず、未だモデルチェンジの話は無し、ハイブリット設定を追加するなどのテコ入れもないため、当代で廃止になるのではと噂されています。