奇妙な哲学パラドックス3選!
パラドックス、日本語に直すと「矛盾」。
「お互いに相反することなのに、お互いに正しいと思えてしまう」「どう見ても間違っていそうなのに正解ということになってしまう」という哲学的な「矛盾」のことを主に指します。
パラドックスには、明らかに間違っていることを「無意識での思い込み」を利用してあたかも正しいかのように説明するもの、堂々巡りに陥ってしまうもの、"無限"などの知っているようで実はよく知らないものを利用したもの…など沢山の種類があります。
今回は、頭を鍛えるパラドックスを3つ紹介していきます。
親殺しのパラドクス
パラドクスの中ではもっとも有名な部類ではないでしょうか。過去に戻れるタイムマシンが存在しないことを証明するために用いられる理論です。
具体的な内容は、「タイムマシンで自分の生まれる前の過去に行き、親(或いはご先祖様)を殺害する。すると"自分"は生まれないことになり消滅する。しかし親を殺したのは"自分"であるから、自分が消えるということは親を殺す者がいないということ。親は生き残ることになり、やがて"自分"を産む。そのうちに"自分"は親を殺しに過去へ行き…」と、堂々巡りになってしまうというものです。
この理論を以って、過去に戻れるタイムマシンは存在しないと言われているそうなのですが、解決策はあります。
並行世界論
この理論を使えば"親殺しのパラドクス"は解決できます。
まず、"この世界"とは違う時間軸の並行世界(例えば30年遅れている世界)を用意します。タイムマシンで過去に戻る時、"この世界"で30年前に戻るのではなく、30年遅れの並行世界へと飛ぶことによって実質30年のタイムスリップをしたとみなせます。
この場合、並行世界側で親を殺しても”この世界”の親には何も影響しないため、パラドクスを解決することが出来ます。
ブートストラップのパラドックス
上述のパラドックスと並んで、過去に戻れるタイムマシンの否定に使われるパラドックスです。しかも並行世界論でも論破できません。
「"あるもの"を過去に持っていった場合、"あるもの"は存在できなくなる」というものです。
ちょっと何を言ってるかわからないので例を挙げます。「ドラえもんの開発者」というドラえもんの最終回に関する都市伝説で頻出するお話があります。この話は、ある日バッテリー切れになって動かなくなったドラえもんを、のび太が猛勉強をしてバッテリーを修理し復活させる、のび太こそドラえもんの開発者だった…というものです。
ここで注意したいのは、あくまでものび太はバッテリーを修理しただけです。月日が経てばドラえもんはやがてのび太の元へと向かいます。そのうちに彼はバッテリーが故障し…
さて、このときドラえもんは一体誰が開発したのでしょう。
アキレスと亀
これも有名な奴です。"ゼノンのパラドックス"と呼ばれる一連のパラドックス群のうちの一つです。
A地点にアキレスが、その少し前方のB地点にカメがいます。アキレスがBに到達したときカメは少し前方のCに、アキレスがCに着いたときカメは更に前方のDに…アキレスは永久にカメに追いつけない、しかし現実ではそんなことはない、というパラドックスです。
一度落ち着いて考えましょう
仮に0m地点(A地点)にアキレスが9m地点(B地点)にカメがいたとします。二人はそれぞれ10m/s 1m/sで動いています。スタートから0.9秒後にアキレスは9m地点、カメは9.9m地点に、0.99秒後にアキレスは9.9m、カメは9.99mに、0.999秒後にはアキレスが9.99m、カメは9.999m…。
このように「0.999999999…秒後の二人の位置」を無限に考え続けると「アキレスはカメに追いつけない」と言えます。しかし現実には1秒後、2秒後…と時間が続いていきます。1秒後にはカメは追いつかれ、2秒後には9mも離されます。
このパラドックスは、"無限に繰り返せる"="永遠に続く"を混同してしまうことで起きてしまうものなのです。