暇人によるクルマ語り

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レクサス上陸で名前を変更したトヨタ車4選

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3代目ソアラのレクサス版"SC400"

 レクサスが世に登場したのは1989年、今から31年も前の事です。「北米の高級車市場にカチコミをかける」というトヨタの思惑により誕生しました。


 「今ある車では西欧の高級車たちに太刀打ちできない。全く新しい車が必要だ

 

 そう考えたトヨタは"LS400"を筆頭に、次々とハイクオリティの高級車を作りだしていきます。それらの車は日本市場にも投入されることになるのですが、日本にはレクサスブランドの展開予定はなかったので、別名で販売されることになりました。


 遅れること16年、ついに日本にもレクサスが上陸してきました。こうなるとこれまでトヨタ車として販売してきた車は邪魔になるため、レクサスでの名称に統一され、トヨタ車としての名前は消えることになりました。

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 セルシオ→LS460

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 レクサスでの名称は"LS"。"Luxury Sedan"を名前の由来とする、レクサスのフラグシップモデルです。ライバルとなるベンツ SクラスやBMW 7シリーズに対抗し得る車として、トヨタが専用テストコースを作るほど本気で開発した車です。

 

 "源流対策”という「そもそもの構造として音が出ない」車を目指して製作されたそのLSの出来栄えは、欧米高級車ブランドを驚嘆させました。LSは期待通りの売れ行きを見せ、レクサスは北米でたちまちその地位を築いていくことになります。

 

 さて、トヨタがLS開発に勤しんでいる頃、彼らを歯ぎしりさせるような事態が発生します。"日産 シーマ"の登場です。 

 

 シーマの心臓にはV6 3000ccターボエンジンが搭載されていました。一方トヨタフラグシップ"クラウン"の最上位モデルのエンジンは直6 3000cc自然吸気エンジン、それまで最高級国産車として地位を気付いてきたクラウンの牙城が崩れてしまったのです。

 

 これに対応するため、1989年(平成元年)、クラウンにLSのV8エンジンを積んだモデルをラインナップ、さらに日本では販売する気のなかったLSを"セルシオ"と名付けて販売することにしたのでした。

 

 2005年、レクサスの上陸後も生産、販売は続き、2006年に4代目LSに統合、トヨタの最高級サルーンの座をクラウンマジェスタに渡し、17年に渡る"セルシオ"の歴史に幕を降ろしました。

hinazinzakki.hatenablog.com

 

アリスト→GS430

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 レクサスでの名称は"GS"。"GrandTouring Sedan"を名前の由来とする、レクサスの松竹梅のうち"竹"にあたるセダンです。

 

 1991年に登場したアリストには、直6 3000cc自然吸気エンジン"2JZ-GE"とそのターボ版"2JZ-GTE"の2種類のエンジンが搭載されました(後にセルシオのV8エンジン搭載モデルも追加)。一方で1993年登場のGS300は"2JZ-GE"のみの設定となりました。実は初代クラウンマジェスタとは姉妹車にあたります。

 

 ターボモデルの"2JZ-GTE"はスープラにも積まれた、トヨタ最強のエンジンを謳われるほどの名機であり、アリストは"国産最速セダン"の名を欲しいがままにします。MTの設定は無かったのですが、駆動方式がFRということもあり、一部の愛好家の間ではMTに換装してドリフトをするのが流行っているそうです。

 

 1998年に2代目にモデルチェンジ、クラウンマジェスタとの姉妹関係を断ち切った他、"アリスト"はV8エンジンモデルを廃止、逆に"GS"はV8エンジンモデルを追加するなど、アリストはスポーツセダンとして、GSはGTセダンとしてそれぞれ成長していきました。

 

 2005年のレクサス上陸と共にモデルチェンジ、3代目GSに統合されました。

 

アルテッツァIS350

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 レクサスでの名称は"IS"。"Intelligent Sport"を名前の由来とする、レクサスのスポーツセダン担当です。初期はエントリーモデル担当でもありました。

 

 1998年にデビューしたこの車は、直4 2000ccエンジン搭載モデルの"RS200"、直6 2000ccエンジン搭載の"AS200"の2モデルが用意されました。特にRS200はスポーツツインカム小型(全長440cm)軽量(1360kg)駆動方式FR6速ミッションという条件が重なって、「久々のトヨタの小型スポーツセダン」「ハチロクの再来」と騒がれました。現在もチューニングのベースとして高い人気を保っています。

 

 内装で一番目を引くのは、クロノグラフ風のメーター類でしょう。後期型RSではセンタータコメーターに変更され、更に走りを楽しめる仕様になっています。

 

 2005年のレクサス上陸と共にモデルチェンジ、2代目ISに統合されました。

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アルテッツァのレクサス版 初代ISのメーター

 

ソアラSC430

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 レクサスでの名称は"SC"。"Sport Coupe"を名前の由来とする、レクサスのスポーツ担当です。2010年に廃止になりました(後にLCとして復活)。

 

 ソアラの歴史は古く、その登場はレクサス誕生の7年前、1981年まで遡ります。その開発の理念には「ドイツの高級車に匹敵する車が作りたい」という、後のレクサスに繋がるものがありました

 

 2代目ソアラは、販売時期がちょうどバブル期と重なったため、かなりの高級車にも関わらず飛ぶように売れ、僅か5年の販売期間で30万台が売れました。

hinazinzakki.hatenablog.com

 

 レクサスSCとして北米で販売されるようになったのは3代目からです。その兼ね合いでボディが大幅に巨大化してしまったこと、不景気になったことが重なってか、日本での売り上げはこれまでのモデルより見劣りする物になってしまいました。しかし、ソアラにのみ設定された直6 2500ccターボエンジンを搭載したモデルは、MTも選択できたため、現在もドリフト界隈では人気の車種となっています。

 

 4代目は全グレードで3代目セルシオV8 4300ccエンジンを搭載し、電動メタルルーフのコンバーチブルとなりました。後席の狭さは歴代最低で、ワンマイルシートどころか荷物置きとしてしか機能しません。

 

 2005年のレクサス上陸後もモデルチェンジはせず、4代目ソアラの造形のまま名前だけSC430に変更、2010年廃止になりました。それからしばらくの間、レクサスのV8ラグジュアリークーペは空席となりましたが、2017年、LC500が登場しました。